英国年金の生存証明とその認証

今週(平成28年7月)に入り多くの英国年金受給者に生存証明書の連絡が届いております。

英国年金の支給を担当するthe Department for Work and Pensionsでは、概ね2年に一度、英国国外の受給者の生存証明確認を行っており、受給権利の失効した(死亡した)受給者への支給及び「なりすまし」による不正受給を防止する活動を行っております。

受給者に届く生存証明回答指示書は、受給者本人が生存中であり、受給を継続する権利が有る事を確認する目的で送付されたものとなり、発行日から8週間以内に、本人申告分と証人の認証書類の返送を行うよう指示をしており、その期限までに回答が無い場合は、英国年金の支給を停止しております。

英国内の報道では、海外での不正年金受給が多くなっている事が報道されており、昨日のThe Telegraph紙に以下のような生存証明に関する記事が出ておりました。

Today hundreds of thousands of pensioners do live overseas – and, thanks to a government anti-fraud measure, they are discovering that their state pension is at risk of being cut off if they “fail to prove they are alive”.

Since 2013 the Department for Work & Pensions (DWP) has been making expat pensioners fill in official forms to stop their friends and relatives fraudulently claiming their state pensions after they have died.

When the Government introduced the measure it said the regime would save taxpayers £45m between 2014 and 2017. A DWP spokesman said: “This is taxpayers’ money we’re talking about – and we don’t want it to be spent on fraudsters. As long as pensioners complete the forms and send them back to us within a reasonable time frame they should have no problems.”

受給者が死亡した後も、親戚縁者が生存証明を偽る不正受給が多く発見されており、その対策として公的に認められた機関での認証が必要となっている物で、その対策により2014年から2017年で45百万ポンド(約60億円)の支出が免れたとの記事でございます。

生存証明の認証については、私共の方での対応も可能です。ご依頼の場合は、お問い合わせぺーじよりご連絡いただきたくお願いいたします。

英国年金の新制度 New State Pension がスタートしております。(2016年4月6日)

英国年金の新制度 New State Pension がスタートしております。

多くの方からお問い合わせをいただいております英国 New State Pensionが昨日(2016年4月6日)から開始されております。英国年金はこれまでも数回の大きな制度変更が有りました。被保険者の生年月日により、適用される英国年金制度が大きく異なってきます。

生年月日(男性の場合) 加入期間 受給年金 英国年金
1945年4月5日以前

満額44年間

最低加入期間11年間

基礎年金については、最低加給期間が必要。

ただし付加年金(国民第二年金)についてはそれ以下でも可能性有り。

1945年4月6日以降

1951年4月5日以前

満額30年間

最低加入期間1年間
最低加入期間を満たせば、基礎年金、付加年金とも受給可能。
1951年4月6日以降

満額35年間

最低加入期間10年間
従来の2階建て制度が1階建てに一本化。最低加入期間10年が必要。

また、海外年金受給資格は、現地での社会保険への加入が必須となり、日英社会保障協定発効月以前の英国勤務か以後の英国勤務かにより大きく異なってきます。

英国赴任時期

英国社会保険制度への強制加入 受給資格
2001年1月以前 強制加入 可能性有り
2001年2月以降 日本の社会保険加入を条件に英国での社会保険加入免除 可能性発生無し

2016年4月6日以降に受給年齢(65歳)に達する方については、英国赴任期間が10年に満たない場合、New State Pensionの新制度により受給資格が発生しない事となりますが、ご自身の赴任期間にVoluntary Contribution(任意加入)期間を加える事により、10年間の最低加入期間を満たし受給資格を生むことの可能性が有りますので、その制度活用の検討をお勧めいたします。

 なお、Voluntary Contributionの1年間分の保険料は概算700ポンドとなりますが、被保険者の年齢その他条件により変わり、また10年に満たない年にもより変わってきます。正確には、被保険者自身の年金記録の確認と10年間を満たすために必要なVoluntary Contributionの金額算出依頼をお勧めいたします。

 【ご注意】

日本と社会保障協定を結んでいる主要国では、日本での社会保険加入期間を通算し、現地国の受給資格年数を満たす事が可能ですが、英国の場合、日本は通算可能対象国となっておりません。

海外年金を受給されている方は確定申告が必要となりました。

 平成27年(2015年)分の確定申告から海外年金受給に関する対応が、平成26年の税制改正により変わっておりますのでご注意ください。

 平成26年(2014年)分の確定申告までは、その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には確定申告の必要はありませんでしたが、平成27年分よりは、海外年金の収入が有る場合は確定申告が必要となっております。

 これまで、海外年金は外国からの収入だから、少額だから等の理由で申告されておられない方が多いようですが、それは誤りです。確実に申告いただきますようにお願いいたします。


(詳細は、国税庁タックスアンサーNo.1600をご覧ください。本ホームページ「公的年金の課税について」にも記載しております。)

また、海外年金が海外で源泉徴収されている場合は、外国税額控除についてもご検討ください。

(詳細は、国税庁タックスアンサーNo.1240をご覧ください。本ホームページ「外国税額控除について」にも記載しております。)

日・フィリピン社会保障協定(仮称)交渉における実質合意

24日(2015年8月) 厚生労働省は日本・フィリッピン間の社会保障協定(歌唱)交渉において実質合意したと次の内容について記者発表を行いました。

1.8月20日,日・フィリピン両国政府は,日・フィリピン社会保障協定の第2回政府間交渉を実施し,同協定について実質合意に至りました。今後,双方は,協定案文の確定等,必要な作業及び調整を行い,協定の年内署名(下記参考1参照)を目指します。

2. 現在,日・フィリピン両国からそれぞれ相手国に派遣される企業駐在員等について,日・フィリピン双方の社会保障制度に二重に加入を義務付けられる等の問題が生じています。

3.日・フィリピン社会保障協定の締結により,これらの問題を解決することができ,両国間の人的交流及び経済交流がさらに促進されることが期待されます。

 

新聞報道によれば、今年年内に国会承認を経て発効するとされておりますが、これまでの海外赴任者に対する取り扱い等を含めての具体的な内容については、未発表となっております。情報入手次第、ご報告いたします。

オーストラリア Superannuation(退職年金)の情報を追加いたしました。

 私共のホームページをご覧いただいた方からのご指摘をいただきまして、オーストラリア年金のページに Superannuation(退職年金)の情報を追加いたしました。

 オーストラリアの年金制度には税を財源とする社会保障制度のAge Pension(老齢年金)と、保険料を財源とする退職年金保証制度Superannuation(退職年金)があります。Age  Pensionは生活保護的色彩の強い年金で、対象となるのはオーストラリアに10年以上住む居住者(市民権又は永住権保持者)であり、日豪社会保障協定により日本の年金制度と通算が行なわれるのはこの社会保障制度です。

 一方、Superannuationは退職後の生活のための積立で、雇用主が被雇用者のためにスーパー運用基金(Super Fund)に支払います。オーストラリア滞在中にSuperannuationに加入していた有資格者は、オーストラリア国税局(Australian Taxation Office)に換金請求をすることができます。(在日オーストラリア大使館 HPより抜粋)

 この事から、Temporary Resident Visa による赴任の場合は、Age Pension(老齢年金)の受給資格は認められておりません。一方で、Superannuation(退職年金)の受給資格が発生する可能性が有ります。一般企業の海外赴任者としてオーストラリアで海外勤務された方以外にもワーキングホリデー等でオーストラリアで就労された方もその対象となる可能性が有ります。

 Superannuation(退職年金)受給には以下のすべてに当てはまる必要が有ります。

  • オーストラリアにTemporary Visaで滞在した人。(オーストラリア市民、ニュージーランド市民、退職ビザ保持者は対象外です。)
  • 既にオーストラリアを離れ、再びオーストラリアに戻る意思のない人。
  • 取得したオーストラリアのTemporary Visaは既に期限切れかあるいはキャンセルされていること。
  • オーストラリアの退職年金を管理するSuper Fund(スーパー運用基金)で退職年金を管理している事が確認できている事。(Super Find名の提示が必須です。)
  • オーストラリアを離れて5年以内で有る事。

 オーストラリアに海外赴任した経験者はご自身が受給資格が有るかどうか是非ご確認されますことをお勧めいたします。

社会保険労務士事務所プラムアンドアップルでは海外年金の情報提供と申請代行サービスをご提供しています。

オランダとベルギーの海外年金情報を更新しました。

今年2014年にオランダとベルギーについても改定が有りましたので、年金情報を更新しております。

 オランダについては、受給年齢が65歳から65歳2か月に変更されています。また、雇用者の遺族年金に関する社会保険料率が1.1%から0.6%に減額されています。

 ベルギーについては、繰上げ受給の年齢が35年間の加入条件で60歳だったものが、39年間の加入条件で61歳に変更されています。

 

社会保険労務士事務所プラムアンドアップルとして、出来る限り最新の情報の提供を心掛けておりますが、その正確性、最新性および完全性を保証する物では無い事についてはご容赦をお願いしております。

イギリス、ドイツ、フランスの海外年金情報を更新しました。

 イギリス、ドイツ、フランスの海外年金情報について2014年に改定されている情報を得ていますので、更新しました。

 イギリスについては、30年間加入の満額で週107.45ポンド(2012年4月)から113.10ポンド(2014年4月)に、配偶者加算が週64.4ポンド(2012年4月)から67.8ポンド(2014年4月)となっております。

 ドイツについては、社会保険料率が雇用者、被用者とも9.8%から9.45%に変更、標準社会保険料支払い者の1年相当の年金金額が月額27.47ユーロから28.14ユーロに変更になっています。また、ポイント制が採用され標準加入者のポイントを1.0とし、加入条件により加算や減算され、支給金額が決定されます。

 フランスについては、社会保険料が雇用者が8.3%から8.45%へ、被用者は6.65%から6.8%に上がっています。また、受給年齢が61歳2か月(2014年3月改定)に繰り上がっております。

 

 プラムアンドアップルでは、最新情報を得た時点で、出来るだけ最新の情報を掲載するようにしたいと考えております。しかしながら、全ての改定内容の把握を行うのは難しく、詳細については各国の年金機関による確認が必要となります。

日本とルクセンブルクの社会保障協定に署名

 10月10日に東京において日本とルクセンブルグ間での社会保障協定が両国外務責任者間で署名されました。

 このルクセンブルグとの社会保障協定署名は、ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、イタリア、アイルランド、ブラジル、スイス、インド、ハンガリーに次いで18か国目の署名となります。なお、すでに国会の承認を得て社会保障協定が締結・発効されているのは15か国で、署名されている国の内、イタリアとインドではまだ発効はしていません。このルクセンブルグとの社会保障協定が締結され発効するにはもう少し時間が掛かり、国会での承認を経ての発効となります。

 現在、日本の企業等からルクセンブルク に一時的に派遣される被用者等(企業駐在員など)は、原則として日・ルクセンブルク両国の年金制度及び医療保険制度等へ加入することとなるため、社会保険料の二重払いの問題が生じていますが、この協定が効力を生ずれば、5年以内の期間を予定して派遣される被用者等は、原則として派遣元国(5年を超える場合は、原則として派遣先国)の年金制度及び医療保険制度等にのみ加入することとなります。また、両国での保険期間を通算してそれぞれの国における老齢年金の受給権を確立できることとなります。

 (ご参考)社会保障協定の内容については、本WEBの社会保障協定についてのページをご覧ください。

 ルクセンブルグへの在留邦人は、外務省によると平成26年7月現在で573名となっており、また在日ルクセンブルグ人は平成25年12月現在で31人となっております。この社会保障協定により両国の経済交流及び人的交流が一層促進されることが期待されます。

 ルクセンブルグは、フランス、ベルギー、ドイツに囲まれた小国ですが、1970年代初頭の石油危機以来それまでの鉄鋼業中心の産業構造を変換し、金融サービス業中心の産業構造への転換に成功し、今日の欧州金融センターの地位を築きました。近年は、金融機関への過度の依存から脱するため、情報通信技術、電子商取引、メディア、ロジスティックス、自動車部品、マテリアル開発やプラスティック工学、医療技術や環境技術などの新しい産業への育成に力を入れ、多くの企業が進出しています。

 

 社会保険労務士事務所 プラムアンドアップルでは、「定年度の安心」の提供をミッションとして設定し海外赴任経験者に対して海外年金に関する情報提供と申請代行サービスを行っております。これまでに海外赴任された方には海外年金受給資格の可能性があります。是非、赴任国、赴任時期によりご自身の受給資格についてご確認されますことをお勧めします。受給資格がありそう、ただ手続きが難しそうと思われる方には私共がお手伝いいたします。

 

日本とスウェーデンの租税条約改正議定書が発効

 外務書は以下の通りの発表を行いました。  

 9月12日(現地時間同日),日本国政府はスウェーデン政府に対し,「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約を改正する議定書(日・スウェーデン租税条約改正議定書)」(平成25年12月5日署名)の効力発生のために必要な国内手続が完了したことを確認する通告を行いました。

 外務省は詳細として以下の通り説明しています。 この改正議定書は,1983年に発効(その後1999年に一部改正が発効)した現行条約の一部を改正するものであり,両国間の投資交流を一層促進するため,投資所得(配当,利子及び使用料)に対する源泉地国免税の対象を拡大するとともに,これに伴う租税回避行為を防止するための規定を導入しています。

 年金に課税される国(例:日本は老齢年金は課税、遺族年金、障害年金は非課税)では、課税分は源泉徴収されます。海外年金の場合、受給できてもその手続きだけでは相手国で源泉課税され更に日本での課税がされることになり二重課税となりますが、日本との租税条約が結ばれている国との間では、その二重課税を避けることができ 租税条約により相手国の課税は免除され、日本側での課税だけとする事が出来ます。その為には「租税に関する届出書」を年金事務所で受けとり、記入の上提出する事が必要となります。

 今回の改正議定書は、海外年金には直接関連してくることは無いと思いますが、スウェーデンから年金の受給を受けておられる方は課税分について一度確認されたらいかがでしょうか。

 

 社会保険労務士事務所 プラムアンドアップルでは、「定年度の安心」の提供をミッションとして設定し海外赴任経験者に対して海外年金に関する情報提供と申請代行サービスを行っております。これまでに海外赴任された方には海外年金受給資格の可能性があります。是非、赴任国、赴任時期によりご自身の受給資格についてご確認されますことをお勧めします。受給資格がありそう、ただ手続きが難しそうと思われる方には私共がお手伝いいたします。

社会保険労務士事務所プラムアンドアップルは本日8月1日に開設いたしました。

 社会保険労務士事務所プラムアンドアップルは本日8月1日に開設いたしました。

 社会保障協定締結により、これまで受け取れないと思っていた海外年金受給資格が発生しております。また社会保障協定締結国以外でも海外年金の受給資格の可能性があります。

 プラムアンドアップルは年金専門の社会保険労務士事務所として専門的な情報提供を行ってまいります。是非、情報をご活用いただき受給資格のご確認をお勧めいたします。 また、赴任国での社会保険番号を紛失してしまった場合への対応を含めて、受給申請代行サービスを行っております。是非お問い合わせいただきますようお願いいたします。