企業年金におけるDB制度とDC制度

 厚生労働省の社会保障審議会で企業年金の推進についての審議が行われています。

 公的年金は、今後もその制度を維持し国民全体の「老後の安心」の実現の為、諸制度を実施しております。結果として支給額の減額は避けられず、1階部分の国民年金、2階部分の厚生年金に加えて、3階部分に当たる企業年金の存在が重要となります。

 しかしながら、これまでは退職金を年金基金で管理し、退職後に退職者に企業年金として支給する適格退職年金制度(いわゆる適年)が一般的でしたが平成26年3月末でこの制度が廃止され、現状では企業年金制度は企業全体の40%しか実施されていません。厚生労働省としては、企業年金制度の普及をめざし、新たな制度構築に向けて審議を重ねている訳です。 そこで出てくるのがDB制度(Defined Benefit 確定給付企業年金)とDC制度(Defined Contribution確定拠出年金)の二つです。

 海外の年金制度を扱っていると良く出てくる言葉がContribution(貢献)とBenefit(この場合は利益と言うより給付)と言う言葉です。日本では制度の加入について、社会保険料の支払いと言う言葉を使ってしまします。この言葉を使うと自分が支払うのだから貰うのが当然と言うロジックになりますが、Contributionと言う言葉だと、加入者全員が一旦大きなポケットにお金を集めて、その後でみんなで分けると言うニュアンスが出てきます。

 本来社会保障制度は、個人や家族だけでは老後の生活が保障できない事から、国として国民全体の老後の生活を保障しようと作られた制度で、このニュアンスがよく伝わります。 DB制度では、あらかじめ加入者が受け取る年金給付の算定方法が決まっていると言う方式で、資産は企業が運営します。運用結果がうまくゆけば企業の負担は有りませんが、運用がうまくいかない場合は企業が給付までの差額を補てんする事になります。 一方のDC制度では、あらかじめ事業主が拠出する掛け金の額が決まっている制度で、資産は加入者(従業員)が運用します。運用結果はあくまでも個人の責任と言う制度です。 いずれの場合もどちらかにリスクが大きく、難しい選択となります。 そこで、企業年金部会で論議されているのがハイブリッド方式で、今日の一部報道では企業の拠出額は月5000円までの上限を設けると言う案が報道されていました。

 法案として国会に提出されるのは2015年となり、今後も更に論議がされて続きます。雇用の延長による高齢者の企業年金をどうするか? 終身雇用制は過去のものになっており、転職が当たり前の時代にある企業からもう一つの企業に異動した場合の企業年金はどのように引き継がれるのか?等々いろいろな制度設計が必要です。

 

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