公的年金の分かりやすい情報発信モデル事業検討会が開催されました。

 昨日、霞が関の厚生労働省内に置いて、「公的年金の分かりやすい情報発信モデル事業検討会」が開催され、傍聴してきました。

 この検討会の目的は「市町村における国民年金業務の適正かつ円滑な業務運営の推進および被保険者や受給者等の国民年金制度の理解促進を図るため、国民年金の手続きや保険料納付促進を図るための動画・リーフレット等の作成や市町村の国民年金担当事務職員向けの業務支援ツールの作成及び通信研修をモデル実施する事」となっております。

 首都圏等では、年金に関する相談業務を行っている年金事務所が設置されていますが、年金事務所は全国に312か所のみとなっており、近くに年金事務所が無い場合は、管轄の市町村でその対応をしております。国民年金に従事する市町村の職員は1万5千人ほどでその83%は他の職務との兼任職員であり、かつ全市町村の31%が事務経験年数3年以下の職員のみで業務を実施しているのが現状の様です。

 確かに市町村役場で取り扱う業務は山の様な種類の業務があり、国民年金専任者を置くことには課題があり、かつ非常に複雑で個人個人の事情により異なる対応となる年金について、市町村の職員が精通する様になることもかなり困難であることは想像できます。 このような状況の中で市町村での円滑な業務運営をはかり、国民に年金制度の理解促進を勧めようと具体的な取り組みが開始されるという訳です。

 大きく3つにモデル事業を分割し、コンペを経て選ばれた業者さんからのプレゼンテーションがありました。

 プレゼンテーションの中には若年層に対する教育も含まれており、まだまだ低い国民年金保険料の納付率を上げてゆくために、高校や大学で年金についての授業を設け年金がいかに大事であるか、社会保障制度とは何かを学んでもらう機会を設けることも重要との話も出ていました。

 昨日は第1回目の検討会で、来年の3月までに具体的な事業を勧めようと言うスケジュールも開示されました。 今回初めてこのような検討会に参加しましたが、年々複雑になってゆく年金(今回は国民年金のみについての討議ですが)を厚生労働省としてどのように国民に分かりやすく、かつ実業務を行っている市町村での課題を改善するために策を設けている事が理解でき、私どもの事務所のミッションでもある「定年後の安心の提供」「年金知識の普及」に努力してゆく事の意味を再認識する機会となりました。

2014年8月28日 | カテゴリー : 年金 | 投稿者 : naruse163

国民年金保険料の納付率(平成26年6月末現在)

昨日8月22日に平成26年6月末現在の国民年金保険料の納付率についての発表が日本年金機構から有りました。
  • 平成24年度分(過年度2年目)の納付率は64.4%  (平成24年度末から5.4ポイントの伸び)
  • 平成25年度分(過年度1年目)の納付率は62.3% (平成25年度末から1.4ポイントの伸び)
  • 平成26年4から5月(現年度分)の納付率は55.1% (対前年同期比 1.7ポイントの伸び)
となっています。いずれも伸びがみられますが、強制徴収活動の増加の結果かもしれません。
  • 督促状 (平成26年4から5月) 6401件(前年同期比 227%)
  • 財産差押(平成26年4から5月) 3320年(前年同期比 177%)
公的年金が自分の将来の生活にとってどの様な意味が有るのか?」 等の公的年金についての正しい知識をできるだけ多くの人に持っていただき、一部の報道をそのまま鵜呑みにして誤解しない年金知識の普及が重要だと考えます。
2014年8月23日 | カテゴリー : 年金 | 投稿者 : naruse163

11月30日を「年金の日」に決定

「いいみらい」のゴロ合わせを含めて11月30日を「年金の日」にするとの発表がありました。

 『国民お一人お一人、「年金ネット」等を活用しながら、高齢期の生活設計に思いをめぐらしていただく日』 として「年金の日」とすることとしました。との発表でした。 「年金の日」に関する行事については、以下の内容が計画されています。

  • 民間との協働イベント
  • 大臣表彰式の開催
  • 日本年金機構による出張相談等
  • インターネット広告等
  • 地方自治体との協働イベント
  • 「年金の日」ページの開設

我々、社会保険労務士事務所プラムアンドアップルとしても11月30日に向けて、最新の情報提供に努めてまいります。

2014年8月19日 | カテゴリー : 年金 | 投稿者 : naruse163

アメリカ最大の年金基金カルバースの動きに変化

 米最大の年金基金であるカリフォルニア州公務員の退職年金基金 カルバースの運用方針が変わったとの報道が有りました。日本最大の年金基金GPIFが日本の株式相場に大きな影響を与え、アメリカ最大のカルバースの運用方針が不動産投資に動き、運用益を改善しようとすることがその他の一般投資家心理をどのように揺さぶるのか、少し心配のネタが大きくなりそうです。

日本版スチュワードシップコードについて

 定年度の生活をどのようにしてゆくのかと言う大きな課題をテーマに私共社会保険労務士事務所プラムアンドアップルは運営していますが、その課題の一つは定年後の生活の資金面での課題をどのように克服するかと言うことになります。

 公的年金を今後も仕組みとして継続的に維持してゆくためには、支給額の調整は避けられず、具体的には年々減額されることとなります。その対策として一般的には企業年金や個人年金で不足分をカバーすると言うことになりますが、海外年金の受給によりトータルでの年金受給額を増やすことも一つの方法だと思っており、私たち社会保険労務士事務所プラムアンドアップルでは海外年金に関する情報提供を行っています。

 一方で個人年金は、運用会社によって運用されておりその運用成績により配当額が決まってくるわけですが、だからと言って市場原理を無視して自分たちだけ儲かれば良いと言う運用方針は受け入れられません。そこでどのように運用してゆくべきかの行動指針が出ています。2010年にイギリスで出来たものを日本では金融庁が日本版スチュワードシップコードとしてまとめています。

 以下、金融庁からの提示です。 本コードにおいて、「スチュワードシップ責任」とは、機関投資家が、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づく建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)などを通じて、当該企業の企業価値の向上や持続的成長を促すことにより、「顧客・受益者」(最終受益者を含む。以下同じ。)の中長期的な投資リターンの拡大を図る責任を意味する。本コードは、機関投資家が、顧客・受益者と投資先企業の双方を視野に入れ、「責任ある機関投資家」として当該スチュワードシップ責任を果たすに当たり有用と考えられる諸原則を定めるものである。本コードに沿って、機関投資家が適切にスチュワードシップ責任を果たすことは、経済全体の成長にもつながるものである。

1. 機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を策定し、これを公表すべきである。

2. 機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について、明確な方針を策定し、これを公表すべきである。

3. 機関投資家は、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべきである。

4. 機関投資家は、投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を通じて、投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の改善に努める べきである。

5. 機関投資家は、議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つとともに、議決権行使の方針については、単に形式的な判断基 準にとどまるのではなく、投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫すべきである。

6. 機関投資家は、議決権の行使も含め、スチュワードシップ責任をどのように果たしているのかについて、原則として、顧客・受益者に対 して定期的に報告を行うべきである。 7. 機関投資家は、投資先企業の持続的成長に資するよう、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づき、当該企業との対話やス チュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべきである。

2014年8月14日 | カテゴリー : 年金 | 投稿者 : naruse163

GPIFの株投資上限撤廃

 GPIFで扱う公的年金(総資産130兆円)の運用先としての株投資上限が無くなるとの報道がありました。これにより今年3月現在株式へ投資されている比率16%が20%になるだけで5兆円が株式購入として増額になります。現在の東証株価総額が459兆円ですから1%以上の資金が流れ込むことになります。これが株価にどう影響するのか? 一方で売りに回る国債がどのようなるのか?注目です。

2014年8月10日 | カテゴリー : 年金 | 投稿者 : naruse163

GPIFポートフォリオ見直しについて

 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が基本ポートフォリオの見直しなどで運用委員会の事前承認制を導入する事が決まったとの報道。世界最大の運用資金130兆円をどのように安定的に管理運用してゆくかは非常に大きな課題。最近の為替相場や株価、債券相場の動きにも大きく影響してきている様で注目してゆきたいものです。

2014年8月9日 | カテゴリー : 年金 | 投稿者 : naruse163

企業年金に新制度

 7月26日日経新聞に「厚生労働省で企業年金に新制度導入の検討」と言う記事がありました。

 一方で30日、各企業から第一四半期の決算発表会の結果が出てきており、NECでは最終損益が昨年同期の半分の101億円の赤字に削減、ANAホールディングではANAで34億円の黒字に改善との記事もありました。

 いずれの決算に影響を与えているのが企業年金。ANAでは従業員の確定給付金の一部を確定拠出型に移行したことによる特別利益99億円が計上、NECでも同様の変更で純利益を押し上げる効果が出たとの報道もされています。

 公的年金は少子高齢化による年金財政の悪化で今後給付額が減ってゆくことが明確になってきており、定年後に十分な年金を受け取り豊かな老後をすごせるようにするには公的年金に上乗せする企業年金が欠かせない制度であり、特に現役世代にとって特に重要な課題です。ただし、企業年金の普及は会社員全体の40%と普及が進んでいるとは言えず、企業がリスクを負担するのか?、社員がリスクを負担するのか?今回の新制度検討はその中間のハイブリッド型の様ですが、年金制度と税制改革企業が出す掛け金の損金算入が認められるのか税制にも大きく影響してくる内容です。

2014年7月31日 | カテゴリー : 年金 | 投稿者 : naruse163

検討課題は「現役世代重視」の施策

今年の社会保障会議がスタートしておりますが、政府が22日開いた経済財政諮問会議で、今年後半の検討課題として人口減を見据えた社会保障改革を取り上げる方針を固めたとの報道がありました。一昨日のブログにも書きましたが、マクロ経済スライド制が採用されたにも関わらず、まだ一度も実施されておらず結果的には高齢者に手厚い予算配分になっています。これらを見直し、現役世代を重視した改革を進める事を検討して行く事になるようです。 毎年1兆円弱増える社会保障予算の中でも、特に大きな伸びが予測されているのが医療や介護サービスでこれらの効率化が検討される事になります。また、年金については支給開始年齢の引き上げに向けた検討も行われるようです。政治家はどうしても選挙で選ばれ易い政策を掲げがちですが、今回の検討内容は高齢者の反発が予想されますので、これまでの歴代政権が先送りしてきた懸案であり、注目されます。 少ない保険料で手厚い社会保障は実現不可能と認識し、各世代が痛み分けをどう行ってゆくかが課題で有り、それを国民に広くオープンにし理解を得て進めてゆく事が重要だと考えます。

マクロ経済スライドとは?

 先日のブログに記載しましたように平成16年(2004年)の年金改革で平成29年(2017年)まで保険料率が引き上げられます。

 一方で今後受け取る年金は「少子高齢化」「平均余命の伸び」を反映して、たとえ物価が1%上がったとしても、同率で上げないようにして結果的に年金の実質価値を引き下げることになりました。(「少子高齢化」見合い0.6%、「平均余命の伸び」見合い0.3% 合計0.9%の引き下げ)これをマクロ経済スライドと言います。

 この制度を採用する事により、国としての年金制度が維持できる事となる訳で意味のある制度では有ります。一方で、個々の問題としてみると、現在の年金受給者は年金金額が上がることは無いわけで、実質の年金金額は下がることになります。